夕ご飯を一緒に 〜イケメン腹黒課長の策略〜


 家族になる。
 思いが明確になって、すっきりした気分だった。
 自分には縁が無いと思っていたその言葉は、じわあっと広がっていって、全身をあったかく満たした。

 まるで太一君の親子丼を食べた時みたいに。
 彼女を抱きしめた時みたいに。

 僕も、彼女達からもらったものを返していきたい。
 彼女があったかい気持ちでいられるように。
 太一君が安心して、未来を見られるように。

 差し出された手を、いつでも取れるように。
 目が合えば、微笑み合えるように。
 同じ時間を過ごして、同じ速さで歩いて行けるように。




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