わかってるよ、どうせ



「やっぱり若い子は、可愛いな」



私の隣で、同い年で大学の同期生の彼が言う。

それは、それはもう思わず、息が止まってしまいそうな程の柔らかい笑みで。



「……いつも、それ言ってるけど結構、問題発言だよ」

「何で。可愛いものは可愛いだろ」

「はいはい、そうですね」



言葉を返したものの、嫌でも溜め息が漏れてしまう。

今、私たちは大学生ボランティアサークルの活動の一環で清掃活動の為に、街の大通りへ来ている。

時刻は正午。

ちょうど活動を終え、たった今は後片付けをしているところだった。

年下が大好きな彼と隣り合わせで、45リットルのゴミ袋の口を縛る。

その中身は、空き缶やタバコの吸殻、諸々のものでいっぱいになっていた。

手を動かしながら、横目で彼を盗み見たとき、その口元は、相変わらず緩み切っていた。

それも、そのはず。

今回の清掃は、地元の中高生も参加型のごみ拾いボランティアだったのだから。

以前から、チラシ・ポスターなどで地元の各学校へ声掛けをして、参加者を募っていた。

つい先程までは、そのたくさん集まってくれた若い子たちと戯れていたのだ。

自分よりも若い元気な子たちに囲まれて、そのうえ頼られて!

さぞ、嬉しかったんでしょうね!

だから、そんなに――。



「幸せそうに笑うんだね」



どうせ、私なんて眼中に無いですよね。

知ってますよー、だ。

内心で呟くと、余計に悲しくなる。



「ん? 何か言ったか?」

「何も」

「……そうか?」

「うん。放っておいて」
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