わかってるよ、どうせ
服部くんを見てみると、盛り上がる後輩や同級生たちを、既ににこにこと見守っていた。
答なんて分かりきっていたが、敢えて尋ねてみる。
「服部くん。どうする?」
「うん、やろう。新体制の節目にちょうど良いし、みんなも乗り気だしな。清水も、もちろん来てくれるんだろ?」
「あ、うん」
向けられた服部くんの綺麗な微笑みに、狼狽えながら私が頷くと、服部くんが全員に呼び掛ける。
「急だが、今夜でも良いか? 出来るだけ、参加希望者が全員来れる日にしたい」
「俺、参加したいです」
「私も」
「私もです」
「僕も行けます」
呼び掛けに大半のメンバーが、手を上げた。
「じゃあ、決定」と、部長の一言で場が盛り上がる。
みんな夜の風景に思いを馳せては、ワイワイと話し始めた。
「この後、買い出しに行かないといけないな。俺と、言い出しっぺの椿は絶対だな」
「はーい」
親しげな2人のやり取りに、つい妬いてしまう。
でも、良い雰囲気を邪魔したいわけじゃない。
「……と、荷物持ちにあと1人くらい、男手が欲しいところだな」
服部くんの呟きに一瞬、胸がモヤッとする。
──私、選ばれなかった。
別に期待していたわけじゃない。
いつも年下の子を優先させる彼だし、今回はちゃんと人選に理由がある。
分かっていても、少し拗ねてしまう私が居た。
駄目だ、駄目だ。
こんなの、みっともない。
切り換えて、私は明るく振る舞う。
「じゃ、じゃあ、私は先に現地に行って、場所取りしとくね」
「「え」」
服部くんと椿ちゃんの声が揃う。