わかってるよ、どうせ
それから、数日後。
食堂にて、同じボランティアサークルの後輩の女の子 椿ちゃんと昼食をとっていたときのこと。
「清水先輩」
「ん?」
「正直なところ、服部先輩のこと、どう思います?」
唐突な椿ちゃんの質問に、口に放り込んだばかりのチキン南蛮を吹き出しそうになり、むせる。
「──っ。何、急に……」
「だからぁ、服部先輩ですよ。先月の清掃ボランティアの時も、女子中高生に囲まれて、デレデレしちゃって……! 先輩だって、見てましたよね!」
「まぁ、見てたけど」
「あんなに露骨に顔に出して。もう見ていられませんでした」
椿ちゃんは腕を組み、首を横に振りながら言う。
それに、苦笑いで返す。
「あの人は、ああいう人だから。椿ちゃんも馴れないと」
「ええ……馴れませんよ。今はニヤニヤしてるだけだから、ギリギリセーフですけど、手を出すようになったら犯罪ですよ!」
椿ちゃんの興奮度合いは、どんどん増していく。
しかし、正直なところ、服部くんの話題なんて、今すぐにでも終わらせたい。
椿ちゃんが嫌な訳ではないが、内心うんざりする私は、あくまで平静を装う。
「……度が過ぎるようなことがあれば、止めるかもしれないけど。本人が好きなことに、いちいち邪魔をするつもりは無いよ」
私の返しに対して可愛らしく頬を膨らませ、不満げな表情で彼女は、こちらを見つめる。