わかってるよ、どうせ



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3月中旬。

今日は月1で行われるサークル会議の日。

4年生の先輩たちが卒業して、次に私たちが最高学年となる初めての集まりだ。

ちなみに、新部長は服部くん、副部長が私。

前部長からのご指名により、決まったことだった。

机をコの字型にして、メンバーみんなの顔がよく見える。



「──じゃあ、他に意見、質問が無ければ、これで終わります」

「新部長! あと、1つだけ良いですか」

「椿。何だ」



椿ちゃんがその場で、椅子から立ち上がる。

そして、みんなに聞こえるように、声を張った。

手元の資料を片付け始めていた、メンバーたちの手が止まる。



「今日、通学中に電車の中で見たんですけど、河川敷の桜並木が満開だったので、皆さんでお花見なんてどうかなーって、思いました!」



大きく手振りをつけて、訴え掛けている。

私も同じく今朝、あまりの桃色の美しさに目を奪われていた。



「確かに綺麗だったね」

「あ、清水先輩も見ました? ね! ね! 行きましょうよ!」

「うん、楽しそう。飲み物とか、何か摘まめるものとか持っていったりして……」

「そうそう! さっすが清水先輩、ノリが良い!」



椿ちゃんは喜んで、嬉しそうに私の手を握る。

すると、そんなやり取りを見ていた、他のメンバーも浮かれ始めた様だ。



「酒も飲んで良いのかな」
「昼より夜のが、人も少ないかもね」
「しかも、夜って! 夜の花見っていうのが、ワクワクする!」



賑わい出した部室。

最終の決定権は、部長にある。
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