花を愛でる。
──────────────────
─────────────
─────────
黛会長のリムジンに揺られること30分、社長と早乙女さんがいると言われている有名料亭にやってきた。
降り立った私たち三人はこの広い料亭で社長を探すことになる。
「ここまで入れてくれたけど流石に部屋までは教えてくれなかったね」
「プライバシー的にそうだろうな。だが、俺に掛かればここから遊馬を探すなど容易いこと」
「田崎さん、ここは一旦手分けして探そう」
黛さんの提案で二人と別れた私は料亭内を歩いて社長のことを探す。しかし一室一室を確認するわけにもいかないし、見つけるにしても彼が部屋から出ている場合に限られるけど。
「(一応連絡も入れたけど返事はないし、本当にここにいるんだろうか)」
黛会長に言われるがままに来てしまったけど、ここにいるという確証はないし。あれから早乙女さんとも連絡が繋がらないのも不可解だ。
ここで一体何が起こっているんだろうか。
と、
「話は終わったのか」
不意に聞こえてきた男性の声。顔を上げるとガラス越しに見える廊下に立つ二人の男性が目に入る。
背の低い白髪の年配男性の隣に立つ人物は私が探しているその人だった。