花を愛でる。



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その日からまた数日が経ち、私は日々秘書の業務に明け暮れる毎日を送っていた。
月末の金曜日、今日は社長に以前会場を押さえておいてくれと言われた日でもある。
今朝から彼は「準備があるから」と言って私とは別行動を取ると週開けから言われていた。

結局当日までなんの為の会場だったのかは教えてもらえなかったけど。
というか一応彼の父とは話が付いているはずだけど、彼はこの先どうするつもりなんだろう。


「(何も話されていないということは、彼にとって私は必要ないってこと?)」


ネガティブなことばかり考えてしまうのは私らしくないが、ここまで来ると何をするのが正解なのか分からなくなってくる。
朝から頭を早ませながら廊下を歩いていると、背後から「田崎―!」と大きな声を上げて人が近付いてくる気配がする。

周りの人も気にせずに大声を上げてくる忙しない足音は間違いなく彼しかいない。


「篠田くん、朝から元気だね」

「田崎、お前は元気なさすぎだぞ。何があった!?」

「まあ、色々と。それでそんなに慌ててどうしたの?」

「あぁ! それが大変なんだよ!!」


つんざくような篠田くんの声に眉間に皺を寄せながら「どうしたの?」とここまで来た理由を尋ねる。


「今俺の耳に入った情報だとよ、今日うちの社長結婚するんだって!」

「は?」

「それで会社も辞めるって。お前何か聞いてないか?」


結婚? 会社を辞める? 私はどちらも今日だなんて聞いていない。
いや待って、結婚って一体誰と。


「(まさか早乙女さんと?)」


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