初めての恋が終わるまで

「また明日たくさん話そうね。」
「さようなら。」







君はいつもキラキラしている。
廊下で元気に友達と走り回って先生に注意されて萎えて、また元気よく走り回る。
わんこみたいだな。

私は教室から見える君をずっと見ていた。
話したこともない、目が合ったこともない、クラスが同じわけでもない。
なのに、いつも元気君が好きになってしまった。

不思議だな。好きってこういう気持ちになるんだ。

心臓がどくどくする。頬が赤くなる。
気づいたら君のことばかり考えてしまう。

不思議だな。



高校生1年の春、入学式
君は1人で正門の側にある大きな桜の木の下に立っていた。それはとても綺麗だった。風で舞う桜の花びらが君を包んでいく。君は大きな桜を見て目をキラキラさせていた。

私はその時心臓がドクンとなった。
こんな気持ちになったのは初めてでこれがどういうものなのかその時の私にはわからなかった。

それから一年がたち私たちは二年生になった。

また違うクラスだ。
君は友達と離れてしまって少し悲しんでいる。
そんな君を見ていると私まで悲しくなってくる。

でも、君はすぐ新しいクラスに馴染んでいた。いつも通り廊下を走り回っている。
私は友達がいないからずっと本を読んでいる。友達がいない私にとって君が楽しくはしゃいでるのは見てるだけで楽しくなってくる。


私は移動教室のため廊下を歩いていると、後ろから男の人が私に話しかけてきた。
「これ、落としたよ」
教科書に挟まっていたプリントだった。
「ありがとう」
その人の顔が見えた。君だった。

初恋の君と話せたのはとても嬉しかった。その日はウキウキしすぎて授業に集中できずにずっと君との初会話を脳内でリピートしている。
明日、挨拶してみようかな。

明日が来た。
君が私の隣を通り過ぎた。
「あ、」
私は君におはようと言えなかった。このタイミングを逃せばもう君と話すことはもうないだろと思っていた。
「おはよう!」
そんなことを思っていたとき、君が挨拶をしてくれた。
「お、おはよう!」
と、私は緊張しながら返した。
通り過ぎたのにわざわざ戻ってきて私に話しかけてきてくれたことが嬉しかった。
覚えててくれたんだと思い喜んだ。

その日から私と君は「おはよう」「ばいばい」と朝と帰りの挨拶をするようになった。
私は君と挨拶以外のことを話したいと思うようになっていた。

「おはよう!」
「おはよう!あ、あの!」  
「ん?」
「帰りの方向一緒だし一緒に帰りませんか?」
ちょっと早すぎたかもしれない。言ってから気づいた。焦ってその言葉を取り消そうとすると
「いいよー!でも放課後20分ぐらい委員会の集まりあって、それでもいいなら帰ろう!」
 君はそう言ってくれた。
「正門で待ってるね!」
君は優しい。こんな私の相手をしてくれるなんて。

放課後になった。みんなぞろぞろと帰っていく。
正門で待っていると息を切らして私のところへと来る君がきた。走ってきてくれた。
「ごめん。待たせた。」
「全然待ってないよ、ゆっくりでよかったのに」
「優しいなw」
君の方が優しい。

今まで挨拶しかしてこなかったから何話せばいいかわからなくなってしまった。ネタは正門だ待ってる時に考えてたんだけどな。
「何で俺と一緒に帰ろうと思ったの?」
急に君が質問をしてくる。その答えを言ったら好きだと言うことが君にばれてしまうかもしれないと思った。
「んー、君と話してみたかったから?」
「挨拶してるじゃん?w」
「いやそう言うことじゃなくて、」
「んー?w」
君は私をいじっている。何故か不快ではなかった。君と話せて楽しいの方が勝っていた。自然と笑みが溢れる。





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