囚われの胡蝶は皇帝の愛にはばたく
江 夢蝶(17歳)
 小国である江国の一人娘。生まれたときから両親に溺愛され、常に香を焚いた浄室で読み物を読んでいた。部屋から出ることはめったになく、姿を知るものも少ない。時折窓辺に現れる小鳥と会話をするのが楽しみ。しかし、17歳の誕生日を過ぎたあたりで、突然謎の病に倒れてしまう。両親の治療の甲斐もなく、床に臥せる日々が続くが、そんな中、隣国の大国・燕国の皇帝、天白から求婚を受ける。はじめは天白を恐れるが、やがて心を許し、心身ともに天白にふさわしい燕国の皇后になっていく。

燕 天白(25歳)
 大陸の多くの部分を治める大国・燕国の皇帝。勇猛な軍を持ち、戦となれば苛烈なことから残虐で冷酷な皇帝と噂されるが、本人は読書が好きなまっすぐな青年。国や民を思うあまり、他国に対して容赦しない面もある。隣国の偵察のために向かわせていた妖術でできた小鳥が夢蝶と出会い、小鳥と彼女の会話を聞いていくうちに夢蝶に想いを抱くようになる。不器用な性格で妃に迎えた夢蝶とも最初はうまくいかないが、やがて心を通わせることになる。

江 泰明(46歳)・紅 艶蝶(42歳)
 夢蝶の両親。小国である江国の王と王妃。遅くにできた一人娘の夢蝶を溺愛している。病に倒れた夢蝶が天白に求婚され、哀れに思いながらも侵略されるよりはと娘を差し出す。やがて他の隣国・水国の策略により命の危機にさらされる。

水 五星(32歳)
 夢蝶の出身である江国の隣国・水国の王。小国の王でありながら、自らの国を大きくすることに対してどんなやり方も厭わないため、最近力をつけてきている。やがて燕国を倒すための足掛かりとして江国を狙っており、卑怯なやり方で泰明と艶蝶を手にかけようとする。毒の研究をしている。
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