丸重城の人々~前編~
「柚、一人にする訳ないだろ?一緒に幸せになろうって言ったじゃん?」
「俺だって傍にいるよ?大切な姉貴だろ?」
「柚希…私だって親友なんだから、簡単に離れないわよ!」
「俺も!姫の病気克服の手伝いするって約束したよ!俺は約束は守りとおす人間だよ!」

「私はそんなつもりないの!大翔のこと大好きだし、中也くんのことだって、大切な弟なの。傷つけてるつもりなんて……」
柚希はパニックになっていて、何を言ってるかわからない。
「柚?なにいってんの?何の話だ?中也」
「は?俺にも全くわかんねぇよ!」
「柚希。どうゆうこと?ゆっくりでいいから、話して?」
響子が優しく語りかけるように、聞く。
そして柚希の手を握った。
「大丈夫。誰も離れたりしないよ!」
「私が…大翔と、中也、くんを……傷つけてるって。だから、大翔、利奈さんと……」
「は?利奈さん?
どうゆうこと?利奈さん」

ずっと病室の入り口で様子を見ていた利奈に向き直る、響子。
「え…」
「お前まさか、なんか言ったのかよ?柚希に」
中也が詰め寄る。
ダン━━━━━!
そのまま、利奈の横の壁を殴る。
「言え!!柚希に何を言った!?」
「ただ、オーナーと中也さんに好かれてるからって二人の気持ちに甘えすぎだって!」

「なんで、そんなこと…言うんだよ…!」
「中也さんだって嫌じゃないんですか?自分を好きでもないのに、あんな思わせ振りな態度とられて」
「思わせ振りってなんだよ?柚希のこと何も知らねぇのに、わかったようなこと言うな!
だから、女の嫉妬は醜いって言われんだよ!
お前最低だ!」
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