丸重城の人々~前編~
「え…やだ……もう、もたない、のに…あぁ…や…」
「ほら、教えて?柚のことは…全部…把握、したい…」
「んぁぁ…誕生、日……大翔、の…プレゼン、ト…」
「え?」
動きが止まった。
「はぁはぁ……」
「プレゼント?もしかして、俺にプレゼント買うために?」
「響ちゃんのお店でアルバイトさせてもらったの。
あ、でもホステスじゃないよ。開店前の清掃と調理で。それだったら、ほとんど一人で仕事できるから、大丈夫だろうって」
「柚……」
「え━━━━」
そのまま大翔は柚希を起こし、繋がったまま膝の上に座らせた。
そして力強く抱き締めた。
「ごめん……!!」
「大翔?」
「ごめん…柚が俺の為に考えてくれてたのに、勝手に嫉妬して、こんな酷いこと……」
「ううん」
柚希は大翔を抱き締め返した。
「スゲー嬉しい!俺の為にアルバイトなんて……」
「や…くすぐったいよぉ……」
今度は頬や額などに、キス責めをする大翔。
「んーー。好き、好き、大好き!柚」
「フフ…」
「ねぇもうプレゼント買ってくれたの?」
「え?まだだよ。明日、また中也くんに付き合ってもらって、買いに行こうかと……」
「じゃあそのプレゼントいらないから、お願いがある」
「え?」
< 108 / 162 >

この作品をシェア

pagetop