丸重城の人々～前編～

夜になり、大翔が帰ってきた。
｢おかえり！大翔｣
｢んーー。ただいま～柚｣
帰ってきて早々柚希に抱きつく、大翔。
｢ちょっ…くすぐったい、大翔！｣
柚希の頬に何度も短いキスをする。
｢だって今、仕事の疲れを癒し中だもん！｣
｢もう///なっちゃんのこと紹介したいから、離れて？｣
｢兄貴！うぜーよ！それにキモいよ…｣
｢なんだよ…キモくて結構！｣

ダイニングに移動し、大翔に夏姫を紹介する柚希。
｢なっちゃん、私の旦那さんの大翔だよ｣
｢で、山野 夏姫ちゃんだよ、大翔｣
｢よろしくお願いします｣
中也に忠告をうけたからか、おとなしく挨拶する夏姫。
｢どーも｣
｢大翔、ちゃんと挨拶して？仮にもなっちゃんの方が年上だよ？｣
｢はぁーわかったよ…柚希の夫の大翔です。よろしく｣
｢こちらこそ///｣

｢なっちゃん…？｣
｢え？あ、ごめん…｣
顔を赤くする、夏姫。
明らかに夏姫の表情が変わった。

｢皆さん、ご飯できましたよ？｣
広子さんの声で夏姫は我にかえった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
｢んー。柚、可愛い…｣
夕食後、自分達の部屋でソファーに座った大翔が、膝に柚希を向かい合うように座らせ、頬や額、口にキスしながらうっとりとして言う。
｢ねぇ、大翔？｣
｢ん？何？｣
柚希を見上げる、大翔。
｢大翔は私のどこに惚れたの？｣
｢え～、いっぱいありすぎて説明するの難しい！なんで？｣
｢だって私、綺麗じゃないし、スタイルよくないし…｣
つい、声が小さくなる。