丸重城の人々~前編~
響子の恋
ここは響子のクラブ━━━━━━━
「響子、久しぶり!」
「将大…」
「響子が会ってくんないから、会いに来た」
「あんたの会うのは、心の準備が必要なの…!」
「妻とは別れたよ?もう一回チャンスくれよ…」
「……」
「忘れられないんだ……お前が…」
この低い、柔らかな声。
色素の薄い、茶色い瞳。
見た目は強面だが、雰囲気がとても優しい。
この男を前に、かつて死んでもいいと思えた恋を思い出す。
彼、小岩井 将大と出逢った時既に、将大は既婚者だった。
響子がまだ19の時だった。
将大は大翔達とは別の、暴走族に所属していてそこの総長だった男だ。
当時はまだ将大の族がトップで、響子もすぐに虜になった。
将大はとても強く、それでいて仲間思いの誠実な男だった。
響子が夢中になるのも、しかたのないことだ。
でも、将大は響子を遊ぶだけ遊び、あっさり捨てた。
それから響子は人を信じなくなり、力だけをどんどんつけるようになる。
当時の所属していたレディースの総長にまでなる程に。
正当防衛で兄を殺し、更に周りに誰もいなくなる。
その時に傍にいたのが、柚希だ。
柚希がいなければ、既に死んでいたかもしれないと響子は思う。
その後、将大への当て付けのように、将大の仲間と結婚した響子。
でもすぐにダメになり、現在に至る。
「店終わったら、話そう。
もちろんお金は出すよ」
どうすればいいのだろう。
また捨てられるのだろうか?でも心はあの日のまま、既に奪われている。
「響子、久しぶり!」
「将大…」
「響子が会ってくんないから、会いに来た」
「あんたの会うのは、心の準備が必要なの…!」
「妻とは別れたよ?もう一回チャンスくれよ…」
「……」
「忘れられないんだ……お前が…」
この低い、柔らかな声。
色素の薄い、茶色い瞳。
見た目は強面だが、雰囲気がとても優しい。
この男を前に、かつて死んでもいいと思えた恋を思い出す。
彼、小岩井 将大と出逢った時既に、将大は既婚者だった。
響子がまだ19の時だった。
将大は大翔達とは別の、暴走族に所属していてそこの総長だった男だ。
当時はまだ将大の族がトップで、響子もすぐに虜になった。
将大はとても強く、それでいて仲間思いの誠実な男だった。
響子が夢中になるのも、しかたのないことだ。
でも、将大は響子を遊ぶだけ遊び、あっさり捨てた。
それから響子は人を信じなくなり、力だけをどんどんつけるようになる。
当時の所属していたレディースの総長にまでなる程に。
正当防衛で兄を殺し、更に周りに誰もいなくなる。
その時に傍にいたのが、柚希だ。
柚希がいなければ、既に死んでいたかもしれないと響子は思う。
その後、将大への当て付けのように、将大の仲間と結婚した響子。
でもすぐにダメになり、現在に至る。
「店終わったら、話そう。
もちろんお金は出すよ」
どうすればいいのだろう。
また捨てられるのだろうか?でも心はあの日のまま、既に奪われている。