丸重城の人々～前編～

その頃の大翔━━━

｢オーナー｣
｢何だ？｣
｢どうしても、ここで働きたいって言う方が来てますが…？｣
本店の店長が事務所に来る。
基本的に大翔は、本店の事務所にいる。
｢は？今本店は手足りてんじゃん？｣
｢はい。でもオーナーの知り合いらしいですよ？｣
｢は？｣
とりあえず、店内に行く大翔。

｢大翔くん｣
｢は？なんであんた…｣
そこには夏姫がいた。

｢━━━━｣
｢ね？お願い、ここで働かせて？｣
｢響子に頼めばいいんじゃねーの？ホステスの方が適任ぽいよ、あんた｣
｢え～そう？なんか嬉しい～｣

なぜだ？綺麗な女だと思う。
でも凄く気持ち悪くて、汚なく見える。
見た目だけで言えば、柚と並ぶとコイツの方が男の目を引くだろう。
なのにひいき目なしでも、柚の方がいい女に見える。

｢お願い…！｣
ここで断ったところで、柚に頼み込み俺を説得するように誘導するだろう。
昨日紹介されて、すぐにこの女がどんな女か察した。
｢わかった。ただ、何かあればすぐにクビだから！｣

結局夏姫を、働かせることになった。


疲れた………。
今日は特に━━━！
｢ただいま｣
｢おかえり、大翔！｣
何も言わずに抱き締める。
力いっぱい。

｢苦し……大翔…腕、緩めて…？｣
｢やだ。今癒され中だから……｣
｢何かあったの？｣
｢うーん｣

夏姫のことを、柚希に話す大翔。