丸重城の人々~前編~
「うん」
うつむいてしまった、大翔。
「え…?もしかして、迷惑だった?
ごめんなさい、ごめんなさい…。私も大翔に何かしたくて…。驚かせたかったの……。
ごめんなさい……」
軽いパニックになる、柚希。
耳を塞ぎ、苦しそうに頭を振る。
軽い呼吸困難のようになっている。

柚希にとって、何気ない態度は物凄く心に刺さる。
その相手が大翔なら、なおさら。

「柚!?
違うよ!違うんだ。今必死に嫉妬してたのを、抑え込んでたの。
例え俺のためでも、中也と二人で出かけたことに、嫉妬したんだ……。
ごめん……」
柚希を抱き締め、背中をさする。
「はぁはぁ……。
ほんと…?迷惑、じゃ…な…い?」
「うん。きっと怖くて、震えながら行ってくれたんだろ?その気持ち、すげー嬉しい!」
「良かった…」
「ありがと、柚」
「うん…」

包みを開けた、大翔が嬉しそうに表情を和らげる。
それだけで、頑張った甲斐があったなと思う、柚希だった。

手を繋いで店を出る。
「大翔、私とっても幸せ!ありがとう!」
「俺の方こそ、財布ありがと!大事にする!みんなに自慢しよっ!みんな嫉妬するな(笑)」
一瞬中也と、表情が重なる。
「フフ…やっぱり兄弟だねー(笑)」
「は?」
「中也くんとそっくりだった!フフ…」
「………」
どうゆうことだ?
なぜ、中也が出てくる……?
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