丸重城の人々~前編~
家に帰り着いてすぐ、そのまま部屋に直行し、大翔にベットに組み敷かれている、柚希。
「ちょっ…大翔!離して……!?ドレスがシワになる。大翔だってスーツが……」
「黙れよ…。
プレゼント買いに行っただけなら、我慢する。でも手を繋いだなんて聞かされて、我慢できる訳ねぇじゃん……」
今すぐに抱いて、柚は俺のモノだと実感しないとほんとに狂いそうだった。

必死に大翔を押し返そうともがくが、柚希の力が敵う筈がない。
大翔の大きな手が、柚希の頬を撫でる。
そして口唇を数回撫でると、そのまま口唇を貪るように奪った。
空気を取り込もうと開いた口に、舌をねじ込むように入れて貪ると、柚希の身体が熱くなってきた。
力も少しずつ抜けてくる。
そのまま頬や耳、首筋にキスを落とすと柚希も興奮し、大翔にしがみつくように、抱きついた。
その柚希を起こし、膝の上に座らせた大翔。
口唇に再度キスしながら、ドレスのファスナーを下ろした。

ドレスがスルッと柚希の肌を滑り落ちて、中途半端に引っ掛かる。
その姿が妙にエロい。
「大翔…このドレス借り物だから、せめて脱ぎたい……」
首筋や肩にキスをしていた大翔に、懇願する柚希。
「我慢できないから、ダメ……。
もしドレスダメになったら、弁償するから。もう俺だけに集中して…?」
「大翔…」
切ない位の大翔の表情に、柚希は何も言えなくなる。
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