丸重城の人々~前編~
そして、旅行当日━━━━━━

「行くよ~」
中也の運転で出発した。
「柚希。なんかあればすぐ言えよ?」
「うん、ありがと。中也くん」
「ちょっと聞いて見たら、今日の予約は私達入れて、五組だって!まぁあんまり会わなくて済むと思うから」
「五組…うん、わかった」
「まぁ大丈夫だろ?とりあえず柚は一人にならないようにしろよ?」
「うん」

「え?もう寝たの?柚希」
響子がびっくりして言った。
出発して、まだ30分も経ってない。
「あぁ、あんま寝てねぇからな」
大翔は自身の肩に頭を預けて眠っている柚希の頭を、反対の手で撫でる。
「兄貴、まさか…」
「あ?」
「寝てねぇじゃなくて、寝かせなかったんじゃ…?」
「あ、バレた?」
「大ってバカよね?」
「バカだな、兄貴」
「なんだよ?それ。
だって今日、柚を抱けないじゃん!」
「ここまでくると、呆れるわ……」

途中、休憩の為にサービスエリアにとめる。
「中と、なんかお弁当買ってくるから、待ってて!」
響子が柚希を起こし、声をかけた。
「え?でも…」
「人多いし、車で食べた方がいいでしょ?」
「みんないるから大丈夫だよ?できる限り、私も頑張りたい!いつも三人には、私のせいで気を遣わせてるから…。
色んなこと我慢させてるでしょ?」
「柚、俺達のことは気にするなって言ってるだろ?それは広ばぁも入れて五人で、散々話したじゃん!」
「うん…」
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