丸重城の人々~前編~
「柚希が頑張りたいなら、中行ってみる?」
中也が言う。
「おい!中也!」
「でもよ、柚希が頑張りたいなら、応援するのも話したじゃん!その為に丸重城に来たんだろ?」
「そうだけどよ…」
「柚希はどうしたい?」
響子が、再度聞いてくる。
「頑張りたい…!」

大翔としっかり手を繋ぎ、しがみついている柚希。
大翔の反対側に、中也が柚希の横に並んで歩く。
「柚?」
「………」
「柚希?」
「………」
「柚(柚希)!!」
「あ…何…?」
「大丈夫かよ?かなりヤバいんじゃねぇの?」
「だ、大丈夫だよ?何食べようかなって考えてたの」
「だったら、いいけど…」
顔を見合せる、大中兄弟。

なんとか席に座った四人。
「柚希。何がいい?買ってくる」
「えーと。冷やし中華にしようかな?暑いし」
「了解~」
「俺はラーメン!」
「は?大は自分で行きなさいよ!」
「柚、一人にできないだろ?」
「だから、交代で買いに行けばいいでしょ?」
「兄貴!俺が買ってくるよ!なんかウザい…。金、ちょうだい!」
「おっさすが弟。はい、財布!言っとくが、絶対財布傷つけるなよ!」
「あープレゼントのやつか…」
「中也くん、ありがとう!」

四人が揃い、食事中。
「なんか私達って目立ってない?」
唐突に響子が言う。
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