丸重城の人々~前編~
柚希はある辛い過去のせいで、対人恐怖症に陥っている。
その為、基本的に家に籠りきりだ。
外出の際はたいがい大翔か、丸重城の人間としか出ない。
それもこの城のルールで、柚希を一人にしないと言うのがある。

なので、仕事をしない代わりに広子の手伝いをしている。
ほんとは部屋でゆっくりしていて構わないのだが、出来ることはしたいとの希望で、手伝いをお願いしている。

でもどうして柚希のような対人恐怖症になってる女性が、シェアハウスにいるかと言うと………
柚希が少しずつでも人に慣れていきたいとの希望があったからだ。
元々は大翔と柚希は近くのマンションに住んでいた。
ずっと家に籠り、専業主婦として過ごしていたが、今後全く他人と関わらずに生活はまず無理だ。
買い物は大翔と行ったりして、なんとかなってるが、子どもができたりしたらそうはいかない。
だから少しずつ人に慣れていこうと言うことになり、広子の丸重城に、引っ越してきたのだ。

その際、響子も“協力したい、家事などしなくていいなら仕事に集中できるから”と、同じタイミングで越してきた。
ちなみに中也は元々から、丸重城の住人だ。

そしてこの丸重城。
以前は他にも住人がいた。
でも出入りが激しい。それは大翔と中也のせいだ。
大翔と中也。
この二人には親がいない。
ずっと叔母である、広子夫妻が育ててきた。
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