丸重城の人々~前編~
「え…?大翔?」
びっくりして、見上げた柚希。
「俺が同情で、柚と結婚したと思ってんの!?」
「私だってそうよ!同情で柚希の傍にいるんじゃないわよ!?」
「俺も!柚希が大切だから傍にいるんだよ!」
「響ちゃん、中也くん…」
三人の悲しい怒りの声が、部屋に響く。

「柚。
俺がどれ程お前を愛してるか、教えてやろうか?
今すぐに!身体に!
俺の思いが、同情じゃなくて愛情だってこと。
柚、失神して壊れるかもだけど、いいよな?」
「え…大翔?」
「いいか…。
もう二度とそんなこと言うなよ!次言ったら、ほんとに身体に教え込んでやるから…」
大翔の恐ろしい程の重たい愛情が、柚希の心を不思議と癒す。
ほんとならばこんな苦しい支配、逃げたくなるのに、妙に柚希を安心させたのだ。

「ごめんなさい…大翔。
私…不安で…」
「柚希、大翔の言う通りもう二度とやめてね!そんなこと言うの」
「そうだよ!」
「響ちゃん、中也くん。わかった。ありがとう」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
柚希の気持ちも落ち着き、四人は横になった。
ベットは五つあるのだか、大翔と柚希は一つのベットに寝ている。
まぁ、セミダブルのベットなので、家と変わらないのだが。
「なぁ、兄貴」
「ん?なんだよ、中也」
「柚希寝た?」
「あぁ。可愛い顔して寝てる…」
大翔の腕枕でぐっすり眠っている。その柚希の頭を撫でながら、答える大翔。
「柚希の対人恐怖症って、俺達のせいでもあるのかな?」
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