丸重城の人々~前編~
そして大翔等三人が、建物を出た。

「ほんと救いようのない女だな、お前」
「でもある意味スゲーなあんた!」
「え…」
「あの三人の物を盗むなんて……」
「そんなに凄い人なんですか?」
「あんた、知らねぇのかよ?」
「はい」
「あの三人は伝説って言われるくらいの、強さと威圧感、あと武勇伝もあるぜ。俺等よりかなり年下なのに、いまだに誰も意見できねぇもんな!」

「姫くらいだな!あの三人と普通に話せるの」
「姫って、柚希さん?」
柚希は暴走族の仲間に“姫”と呼ばれている。
「そう!可愛いんだよな…!純粋で……また会いてぇなぁ~」
「無理だろ!姫は三人の宝物だもんな!」

「なんで、柚希さんは三人と仲いいんですか?」
「簡単に話すと、元々は姉さんの親友だったんだよ。で、翔さん達が一目惚れして、翔さんが射止めたんだよな!」
「そーとー大変だったはずだぜ。翔さん達が出逢った時、既に対人恐怖症で、二人とも必死だったもんな。
絶対に克服させてやるから、諦めないって!毎日姫のとこに通って、少しずつ心を溶かして。だからあんたがやったことは、そーとーな裏切りなんだよ。こんなことされたら、また克服が遠ざかるだろ?」
「もういいから、行くぜ!」
「え?」
「お前は一生身体で、償うんだよ!
これが裏切りの代償だ!
まぁ、その前に俺達と楽しもうぜ!」
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