丸重城の人々~前編~
「いただきます」
「どうぞ~」
「柚~なんでここ、来ねぇんだよ?」
「やだ…広子さんの隣で食べる」
「プッ…兄貴、ダサッ!」
「確かに(笑)」
「………」

「姫。今度俺とデートして?」
「え…」
「は?」
「はぁぁ?玄、お前…」
「いいんじゃないの?玄くんなら。
大翔や中也以外の男の人に、慣れるチャンスじゃない?」
広子も賛同する。
「は?おい!ばばぁ!余計なこと言うなよ!」
「は?叔母様に向かって、ばばぁだって!?あんた、誰のおかげで、ここまででかくなったと思ってんの?」

「あの…私いいですよ。玄さんなら。デートってゆうか、人が少ない公園でお茶くらいならですけど…」
「ほんと?じゃあ、どこか人が少ないとこ探しておくよ」
「おい!柚!玄はダメだ!頼むよ…」
「でも、病気克服の為なら……」
「柚希、大丈夫かよ?いくら玄だからって…」
「玄さんなら…まだ普通に話せるし」

「大翔、中也!柚希ちゃんが克服する為の努力は、応援するんでしょ?」
「あぁ」
「だったら、受け入れてあげなさいよ!
ただ…玄くん」
「はい」
「傷つけたら、わかるわよね?
恐ろしいわよ。大翔と中也、響子ちゃんを敵にまわすんだから…。
私もこんなおばさんだけど、あなたを地獄に落とすくらいできるんだからね!
柚希ちゃんは娘みたいなものだから」

「はい。わかってますよ!痛い位に……」
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