丸重城の人々~前編~
「好きなんだ。君が……
俺が幸せにしてあげるよ。ずっと大切に囲って……」

「それは、違う……私は!!
大翔が好きです!
みんな離れていく中、大翔や中也くん、響ちゃん、広子さんが、必死に向き合ってくれた。
特に大翔は、一緒に幸せになろうって言ってくれました。苦しいことも、嬉しいことも一緒に分け合おうって!
“幸せにする”じゃなくて、一緒にって!
その言葉がどんなに嬉しかったか…。
ずっと騙されたり、傷つけられて生きてきました。
でもやっぱり相手を信じたくて、でも騙されて。
このまま一人で生きていくんだろうなって。
そんな中で大翔は“一緒に病気克服して、一緒に幸せになろう”って!
だから、玄さんの気持ち受け取れません」

「そっか……やっぱ敵わないな…翔には。
昔から…。ごめんね、もうこんなこと言わないから、たまにはデートしてよ?病気克服の為の手伝いさせて?俺も一緒に手伝いたい」
「玄さん…はい。喜んで」

「でもほんと、気をつけなよ?姫は可愛いんだから、連れさられるよ(笑)?」
「え?」
「大変だな…翔」
「え?」
「嫁が無防備、無自覚って!」
「え?」
「今も気が気じゃないだろうなぁ…」
「あの…」

「フフ…帰ろっ!」
「は、はい!」
「ねぇ…姫…。
手繋ご!」
「え?
━━━━!」

「言っとくけど、姫が無防備だから、悪いんだよ!」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ただいま」
バン━━━━!!
「柚!!!」
「おかえりー柚希」
「無事にお届けにあがりましたよ?」
「柚!なんかされなかった?」
「え…?」
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