生きなさい<短編>
私の中の彼との思い出は
全て偽りに代わった。
愛されていた?
そんなこと
今になってはもう知る術もない。
彼の奥さんの腕の中で眠れる赤ん坊の顔を思い出すたびに
愛されていなかった
そんな事実が浮き彫りになる。
それは
日が経つに連れ
客観的になると同時に
より鮮明なものへと変わった。
あぁ
なんだ
私
-アイサレテ
ナカッタンダ-
私って
なんでこんなに
惨めなだけの生き物なんだろう。
そして私は手首を切った。
今度は深く。
リストカットの何倍も力を込めて。