生きなさい<短編>
祖父には言えなかった。
悲しむ顔を見たくない。
がっかりされなくない。
そんな気持ちから、家では明るく振る舞った。
その頃、母はもう
月に一度ほどしか帰らなくなっていた。
祖父が母を怒鳴りつけることもあった。
それでも母は次の日になると、恋人の元へと帰って行った。
すまんな‥
そう言って悲しそうな目で私に謝る祖父を見て
私はますます母が嫌いになった。
おじいちゃんは悪くないよ。
そう言うと
お前はほんまに良い子だな
って頭を撫でてくれた。
だけどやっぱり
悲しそうな目をしていた。