ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!
5 王子撃沈(※王子視点)
「イーリス! さあっ、今日はマロングラッセだよぉ~!!」
「……!」
おや?
僕の可愛いお砂糖ちゃんが、ガチガチに固まっている。
トレイを持つ手が急に重さを自覚して、心にぐっと圧し掛かる。
「どうしたんだい? 具合が悪い?」
「……」
「もしかして、息を止めてる?」
「……」
なんという事だ!
甘い香りを嗅がないように、息を止めて狼狽している。
マロングラッセをふっくら可愛いイーリスの顔の右に左に前に上に下に、寄せてみる。
「イーリス、苦しいだろう? 息をしてごらん?」
「……っ」
大変だ。
顔が赤くなってきた。