ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!
「さあ、イーリス嬢。行きましょう。お使いの途中でしょう?」
「そうでしたぁ……」
「いかがですか? ミントの爽やかな香りは」
「これはこれで素敵です……」
「そうでしょう、そうでしょう」
男は勝者の笑みを浮かべ、悠々とイーリスを伴い去っていく。
「……イーリス……」
可愛い後ろ姿が、滲んでいく。
やっと見つけた、僕の心の白い花。
たったひとつの安らぎ。
僕の愛が、奪われていく……。
「負けないぞ」
マロングラッセを持ち帰り甘党の画家にあげて、僕はミルクシェーキを瓶に注いで出直した。食べ物が駄目なら飲み物だ。