ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!
彼は親切心や良心からそうしたわけではない。
国政を第一に考え、血統の乱れと風紀の乱れを正す事を重要視したのだ。もしかするとそこには信仰心があるのかもしれない。
「陛下。私の妻は、王のお眼鏡に適わず出仕には至りませんでした」
「よかったわね」
「妻は太りやすく、顔もまあ普通です。しかし私は妻を愛しています。今も妻の顔を思い浮かべるだけで、心に溜まった澱がサァーッと砂のように流れて消えます。おかげで午後の政務も捗るでしょう」
「いい奥さんね」
「ええ。妻は癒しです」
「癒し……」
それこそ私が求める唯一の安らぎだった。
どちらともなく、イーリスを侍女に迎える事が決まった。