ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!

「……」


王子が敵を迎えるような凛々しい表情で背筋を伸ばす。
王妃はゆっくり、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。


「母上……」

「ヨハン……」


ただならぬ緊迫感!
 
私は壁際に体を寄せて、高貴なる母子の睨み合いに息を呑んだ。
王子が王妃を睨みつけたまま、小瓶を渡してくる。私はそれをポケットにしまって、小さく頷いた。

そして王妃は王子と向き合って立つと、重々しく囁いた。


「もし、私の可愛いイーリスに変な病気をうつしたら……殺すわよ」

「……!」


穏やかではない。
 
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