ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!
「……」
「鳩のように可憐な姿は、まるで神々に愛される神話の中の乙女のよう。甘い香りに誘われて、世界中の男があどけない乙女に夢中になります。……ん? イーリス嬢、いい匂いがしますね」
「あ、これは」
クロードが真正面からの私を覗き込んで、つい、息が止まった。
普段厳しくて恐いクロードも、これでなかなか綺麗な顔立ちをしている。だからこそ恐いのだけど、そんなクロードが値踏みするような目で私を見ないのは、これが初めてだった。
ずっと、嫌われていると思っていた。
それに、馬鹿にされ、蔑まれていると。
だって、クロードは私を認めてはくれないから。
そんなわだかまりが溶けて、私は初めて、クロードに微笑んだ。
なんだ。この人、恐くないんだ。
「クロードさんも、神話に出てきそうなお顔ですよね」