ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!
しばらく回って、王子は私を地面に下ろした。

 
「殿下」


とても息があがっていた。だって走ったから。
でも王子はキラキラ輝く笑顔で少しだけ息を弾ませて、私を見つめていた。

そしてふいに身を屈めて、私の唇にキスをした。


「────」


ぴゅー
ひゅーひゅー

踊り子たちが、花びらを振りかけながら口笛を吹いたり、ひゅーひゅー言っている。とても賑やかだ。


「息をして」

「……」


優しく囁く王子の声が、聞こえるけれど、ちょっと意味がわからない。


「ほら、イーリス。息をしてごらん」
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