ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!
私は話している人に順々と顔を向けて、なりゆきを見守ると言うか、なりゆきに押し流される感じになる。


「まったく、浮ついたお前の顔を見なくて済むと思うと、そのイーリスには感謝しかないな」

「やめてください。兄上、僕のイーリスをそんなに安く見ないでもらいたい」

「あなたのイーリス?」

「そりゃそうでしょう。母上、結婚するんですよ?」

「ヨハン。イーリスを私の娘にしたくて結婚させるとは考えないの?」

「母上。浮かれヨハンにはそんな複雑な心理はわかりませんよ」

「そうよね、ごめんなさい」


やめて!


「待ってください! どうか皆さん、落ち着いて……!」

「あああっ、駄目だイーリス! 食べられちゃうよ!」

「えっ!?」


王子が私のお腹に腕を回し、軽々と持ち上げて部屋を出た。
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