ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!
だいたい、私は元気だ。
母の家系はみんな小さくて丸くて、よく食べる。でも元気に長生きしている。
「はぁ。本当に、こんなに歌の上手い使用人ばかりのお城も珍しいでしょう」
「そうですね」
私は中央階段に向かった。
今朝も、元王子で現公爵で夫のヨハンが生き生きと歌っている。
最初、失敗してしまった。
階段と広間を劇場みたいに使って大合唱している最中に、中央階段をうっかり下りて、私も歌うはめになった。普通にみんなで歌うだけならいいけど、ヨハンと私は階段の上で、まるで舞台に立つ歌手のように歌わなければいけなかったから……
歌い終わるのを待って、階段を下りた。
使用人たちの視線で気づいたヨハンが、さっと振り返る。
「おはよう、イーリス!」