ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!
15 新しい朝(※レントリ卿視点)
「レントリ卿、ちょっとよろしいですか?」
「殿下」
早朝、執務室に向かっていると王太子エイベルに出くわした。
よく顔を合わせる相手ではあるものの、人目を忍ぶように唐突に現れたので、気になった。
「もちろん。なにか問題が?」
「いやいや。なにもありません」
そんなわけあるか。
「レントリ卿。こんな日はクロンビーに行かれては?」
「……いえ、特に用はありませんが」
「いやいや。これまで多忙で顔は合わせなくともこの城内で共に過ごしていたようなものだった一人娘が、能天気な王族の夫と田舎へ飛ばされたのです。心中お察ししますよ」