ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!
「でも見てください、この幸せそうな顔! あああ、なぁんて可愛いんだ」
「可愛いからって胃袋は無限じゃないのよ!」
「大丈夫ですって、母上。砂糖とクリームは雲みたいなものですって」
「いきましょう、イーリス。ミントティーを飲みましょう」
「渡しませんよ、母上。さぁ、イーリス。ここを舐めてぇ~」
銀のトレイにみっちりついた、ケーキの底を支えていたタルト部分。
最後の最後まで楽しませてくれる、サクサク。
べろんっと舐めて、綺麗に頂く。
「イーリス……」
「ふはははは! イーリスは僕の虜です、母上」
王妃が大きなスカートの輪にぼふんと沈んで、ハンカチで私の口を拭く。
ケーキを食べ終わってしまった。
幸せだった……
「今夜は鮭のムニエル茸ソテー添えと香味スープよ」
「……!」
王妃に後光がさした。
甘いもののあとの、しょっぱいは、最高だ。