ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!

「でも見てください、この幸せそうな顔! あああ、なぁんて可愛いんだ」

「可愛いからって胃袋は無限じゃないのよ!」

「大丈夫ですって、母上。砂糖とクリームは雲みたいなものですって」

「いきましょう、イーリス。ミントティーを飲みましょう」

「渡しませんよ、母上。さぁ、イーリス。ここを舐めてぇ~」


銀のトレイにみっちりついた、ケーキの底を支えていたタルト部分。
最後の最後まで楽しませてくれる、サクサク。

べろんっと舐めて、綺麗に頂く。


「イーリス……」

「ふはははは! イーリスは僕の虜です、母上」


王妃が大きなスカートの輪にぼふんと沈んで、ハンカチで私の口を拭く。
ケーキを食べ終わってしまった。
幸せだった……


「今夜は鮭のムニエル茸ソテー添えと香味スープよ」

「……!」


王妃に後光がさした。
甘いもののあとの、しょっぱいは、最高だ。
< 9 / 109 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop