ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!
「陛下! 陛下、こちらへ……!」

「はいはい」


城外には押しかけた国民。

エイベル率いる将校たちが夫を縛り上げ、晒しものにしている。私はエイベルの従者によって侍女たちと共に鏡の間に閉じ込められていた。同じように、真面目に宮仕えしていた婦人たちは西の広間に集められているらしい。安全のためだ。

侍女に呼ばれ窓から外の様子を眺めると、ふと目が止まった。


「……」

 
夫も、あれでいて国王だ。夫についた保守派の将軍たちが息子のクーデターを鎮圧しようとしたところへ、助っ人が入ったという話は聞いていた。

見覚えのある軍服の一団。
私の、母国の兵だ。
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