ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!
もう夫に対しては1ミリも心が動かないと思っていたのに、跪いて息子に命乞いしている姿を目にして、また更に幻滅した。これが国王の姿だろうか。
「ああっ、アレクサンドラ! よくも……ッ」
「私は関係ありません」
「母上に言掛りをつけるより民衆の顔をご覧ください、父上」
「エイベル……!」
地べたに跪き頭の後ろに手をやった夫は、もはや国王ではなかった。
息子の凛々しい横顔を見つめ、新しい時代の幕開けを感じた。そして、右側から私を見つめる視線があった。右半分の肌がじわじわと波打ち、熱を持ち始める。
「王妃……アレクサンドラ」
「……」
懐かしい声。
私は大きく息を吸い込んだ。