ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!
17 離れがたい人々
戴冠式があって城に帰ってきた。
まさか私が王族の席に座るなんて、びっくりだ。
「苦しくないかい? 靴は、痛くない?」
「はいっ、だっ、大丈夫です!」
「辛くなったら言うんだよ?」
「きっ、緊張して……!」
「うん。そうだよね。真っ青だよ、イーリス。心配だ」
「……はいっ!」
という感じで、義兄エイベルの戴冠式は乗り越えた。
盛大な祝宴が開かれ、私は眩暈を覚えた。
ぜんぶ美味しそう!
ひとつの胃袋じゃ、足りない……!!
「はぁっ、なっ、なんという事なの……! 天国!」
「落ち着いて、可愛いイーリス。さあ、みんなに挨拶して回るよ」
「はああんっ、サンドイッチィ……っ!」
「よしよしイーリス、あ・と・で」
「あああっ」
私は手を伸ばした。