この男子に要注意!
「んまあ、俺は大会とかそういうの出ないし。……てかさ、相馬くんじゃなくて葵って呼んでよ、ね?」
「う、うん……」
「はい、言ってみて」
相馬くんが強引に迫ってくる。断れない雰囲気だ。
「あ、葵……」
「うん!それでいいよっ」
名前を呼んだだけなのにすごく喜んでくれている。
『ピンポンパンポーン』
『12:30より障害物競走を始めますので、参加選手はグラウンドに集まってください。繰り返します…………』
「あ、俺これ出るんだった。行かないと」
放送を聞いて、口に入っていた物を急いで飲み込む。それに、葵はこういうのが好きそう。
「ほらほら、急ぎなさいよ」
急ぎすぎて、喉を詰まらせかけている葵にお茶を渡す。