この男子に要注意!
「おつかれおつかれ。圭衣人気者だね」
順位表などを貰って元の場所に戻ると、もうすぐ出番の帝が声をかけてくれる。
「……人気者?どこが?」
逆にわたしにいい順位を取らせたくなくてたくさん押し寄せてきただけ。
「圭衣は十分人気者ですよ、じゃあ俺次だから、前の方にいてね」
「……うん……」
借人競走の最終レースに出る人たちのお題は、“好きな人”と伝統的に決まっているらしくて、それをわたしは昨日夕彩にRINEで教えて貰った。
帝と同じレースには高嶋くんもいたりして、きっと観客席にいるエリを迎えに行くのだろう。
『いちについて、よーい、ドンッ!』
ドキドキしていると、帝が紙をとって颯爽とわたしの方に向かってくる。
「行くよ、圭衣」