この男子に要注意!
「そういえば、指輪の場所もこんな大きな桜の木があったな」
講堂から校舎に戻る途中のわたしの目の前には、大きな桜の木があった。
桜の木をしばらく眺めていると、1人の男の人がわたしに近づいてきた。
わたしの横で止まった彼の顔を見ようとしたけれど、太陽の光で頭の部分だけがちょうどよく見えなかった。
「あの、先輩。ちょっと聞いて貰ってもいいですか?」
その人は、桜の木を眺めながらそう聞いてきた。
「あ、はい」
わたしは、どうすればいいのか分からなくて、こう答えることしか出来なかった。
「俺、幼稚園の年中くらいの時から好きな子が居るんですよ。その子と一緒に見てた桜がこの桜に似てて」
「うん」
「その子も、この桜みたら俺と同じこと思うと思いますか?」