この男子に要注意!
そう聞いてくる彼は、まだ桜を見つめたままだ。
「そんなに似てるの?その桜に」
「うーん。そうですね。多分」
「多分って……でも、その人もちゃんとそう思うよ」
わたしは何故かその答えに妙な自信があった。
「どうしてですか?」
「そんな気がしたから……かな」
「そっか。話聞いてくれてありがと、圭衣」
そう言って、彼は桜の木を後にした。
そしてわたしは、最後に名前を呼ばれていたことなんて、全く気づかなかった。