この男子に要注意!
危うく、本人に聞いてしまうところだった。
「ほう、それはなんと偶然な」
「それでねわたし、その人のこと好きになったかもしれない。多分一目惚れっていうやつ」
わたしのその告白に驚いたのか、マスターが持っていた包丁を思いっきり床に落とした。
「そりゃあ、急展開な」
「でも、なんかピンと来たんだよね。それに桜の前でもその人と会ったと思うの」
あの声は間違いなく、桜の木の人の声だ。
「ああ、あの指輪の」
「そうそう」
友達がいないわたしは、唯一の話し相手であるマスターに何でもうちあけている。