○●雨色ドレス●○
中央線が到着した。ゆっくりと扉が開き、大量の人間が雪崩のように溢れ出てくる。
 
 
……もうおしまいだ。きっとこの中央線が僕の墓場になるんだ。

僕もきっと、あの柱みたいに――ヒエェェェ!!
 
 
ああ、最後にもう一回椿屋のとんこつチャーシュー麺食いたかったなあ。
 
僕は、なるべくギャル女から離れた位置になるように、素早く車内の真ん中へ潜り込んだ。僕の周りには汗臭いリーマンしかいない。お願いだリーマン、僕を守って下さい!
 
願いも叶ってか、ギャル女は僕から三人挟んだ向こう側にとどまっていた。どうやらこの混雑した中、あいつの自慢のキックも一時休戦らしいな。ほっ!
 
しかし、背が165センチしかない僕にとって、この強烈な激混み満員電車はかなり過酷なものだった。
 
前にいる中年リーマンなんかずっともぞもぞしてるし……




って、おいまてよ。
 
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