○●雨色ドレス●○
その日の帰り道は、ずっとあのギャル女の顔が脳裏に浮かんでいた。
 
 
別に多分、いや絶対100%恋愛感情なんかではないことは確か。だけど何かが喉元を引っかかる。
 
二人分の菓子詰めと封筒の入った紙袋を、だらしなくぶらんと持つ。(たまに右ももで蹴りながら)
 
これ、賞味期限いつまでかな。とりあえず、賞味期限三日前くらいまで保管しといて、それでも奴が現れなかったら婆ちゃんにやるか。
 
婆ちゃん何でも食うしな。
 
 
あの変態中年男とおしゃべり駅員の長話のせいで、すっかり遅くなってしまった。日野に着いたのは予定してた時間よりも3時間も後。
 
もう晩御飯片付けられちゃっただろな。まぁ食欲もどっかすっ飛んだけど。
 
……はぁ。
 
とりあえず、何か腹の足しになるもんでも買っていくか。後からお腹すいてもイヤだし。
 
僕は実家に電話する気力も残ってなく、フラフラと目についたコンビニへ入っていった。
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