○●雨色ドレス●○

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「健太ぁーザワさん達と一緒に写真撮ろうよぉ」

「おー真弓、待ってちょい小便いってくる」

明日、僕らはこのボロ校舎から旅立つ。

三年間お世話になった黒板には、『２００６年３月１９日卒業式』とでっかく書かれている。

今日でこの教室でノートを開く事も、机によだれを垂らすことも、この席から真弓の横顔を見ることもなくなるんだ。
　
まぁ卒業しても、真弓とはずっと一緒だけどね！
　
僕は一人ニヤニヤしながら、何かを噛み締めながら、廊下を歩いた。
　
「ふんふんふーふん、あれ？」
　
　
白いニットカーディガン、紺のハイソ、ブルーーのリボンをゆるく巻いて、スカートは膝上１５センチ。多分、素人が見たら僕の目の前にいるのは「飯田真弓だ」と自信満々に言うだろう。僕だって一瞬目を疑ったくらいだ。
　
だけどこれは真弓じゃない。キャハキャハと笑う真弓の声が廊下を伝って遥か後ろから響いてる。
　
これは