○●雨色ドレス●○
次に目に入ってきたのは、宙を舞う一枚の紙切れ。
運がいいのか悪いのかわからないが、それが僕の足元にパサリと着陸した。そしてそれが紙切れではなくて、男女が仲良さげに写る一枚の写真であることを知った。
「あっ! ごめんなさい、それ、拾って!」
「えっ?」
声の主の言う通りに、僕はその写真を拾った。
そう、さっきまで僕がヘビと称した女、ケバブを獣のように食らう女が、童話に出てくる健気なお姫様のように、僕のもとへと駆け寄りながら声を張り上げている。
いや、写真が目的なんだろうけど。
髪の毛ボサボサで、健気なお姫様が細い手を差し出した。
僕は従順な飼い犬のように、写真を差し出した。
「あの……」僕が言う。いつになく、情けない声色で。
スケッチブックの事とかを聞きたい。だけど言葉が続かない。すると彼女は
「ああ、ありがとうね」
とだけ言って付け足したような笑顔を見せると、スケッチブック片手に去ってしまった。
僕の脳と心臓に、とんだ副作用を残して。
運がいいのか悪いのかわからないが、それが僕の足元にパサリと着陸した。そしてそれが紙切れではなくて、男女が仲良さげに写る一枚の写真であることを知った。
「あっ! ごめんなさい、それ、拾って!」
「えっ?」
声の主の言う通りに、僕はその写真を拾った。
そう、さっきまで僕がヘビと称した女、ケバブを獣のように食らう女が、童話に出てくる健気なお姫様のように、僕のもとへと駆け寄りながら声を張り上げている。
いや、写真が目的なんだろうけど。
髪の毛ボサボサで、健気なお姫様が細い手を差し出した。
僕は従順な飼い犬のように、写真を差し出した。
「あの……」僕が言う。いつになく、情けない声色で。
スケッチブックの事とかを聞きたい。だけど言葉が続かない。すると彼女は
「ああ、ありがとうね」
とだけ言って付け足したような笑顔を見せると、スケッチブック片手に去ってしまった。
僕の脳と心臓に、とんだ副作用を残して。