○●雨色ドレス●○

この青いベッドに横たわると色々思い出すなぁ。
　
ガキの頃は、体が弱くて風邪っぴきだった僕。そんな僕に母ちゃんは野菜スープを、よく作ってくれていた。
　
それを飲むと不思議なことに、翌朝には風邪もすっかり治っていて……でもまたすぐに風邪をひくんだけど……どんな薬よりも即効性のある、魔法のスープだった。
　
それだけじゃない、毎週日曜日は家族で出掛けて、遊園地にいったり、おもちゃ屋さんにいったり、美味いメシ食ったり、父ちゃんには髪の毛だってまだウンザリするくらいモサモサあったし、母ちゃんも今より若干落ち着きがあってまともだった。――まさに極楽天国だ。
　
ああ、ガキがいい。戻りたい。
　
「おい健太、寝てるか？　父ちゃんだぞ」
　
ふすまを少し開け、そこから中を覗く父ちゃん。
　
プライバシー保護をしているようでしていない。