○●雨色ドレス●○
「なに、父ちゃん」
「薬、一回二錠だぞ。水も一緒に置いておくからな、よいせっと」
父ちゃんは足でふすまを開けると、中年男には全く似合わない茶おぼんを置いた。風邪薬と水と、不器用にカットされたリンゴが乗っている。
「へぇ、父ちゃんリンゴ剥けたんだ」
「なっ、父ちゃんだってなあ、最近ちゃんと料理もしてるんだぞ! 今はなぁゆで卵を練習中だ。塩をたくさんと酢を少し入れるといいんだぞ! あっ、それより健太」
父ちゃんが後ろを振り向き、紙袋を前に出した。
「あっ」
昨日もらった菓子詰めと白い封筒! すっかり忘れてた!
「コンビニの休憩室に置いてあったぞ。これ健太のだよな」
「うん。昨日来る途中にいろいろあってね」
そう言えば、まだ白い封筒の中身見てないな……。
「それじゃあ薬飲んで早く寝るんだぞ。次の出勤は明後日だからな」
「ああ」
僕はふすまが完全に閉まりきって、父ちゃんの足音が遠くなるのを確認してから白い封筒を開けた。
「薬、一回二錠だぞ。水も一緒に置いておくからな、よいせっと」
父ちゃんは足でふすまを開けると、中年男には全く似合わない茶おぼんを置いた。風邪薬と水と、不器用にカットされたリンゴが乗っている。
「へぇ、父ちゃんリンゴ剥けたんだ」
「なっ、父ちゃんだってなあ、最近ちゃんと料理もしてるんだぞ! 今はなぁゆで卵を練習中だ。塩をたくさんと酢を少し入れるといいんだぞ! あっ、それより健太」
父ちゃんが後ろを振り向き、紙袋を前に出した。
「あっ」
昨日もらった菓子詰めと白い封筒! すっかり忘れてた!
「コンビニの休憩室に置いてあったぞ。これ健太のだよな」
「うん。昨日来る途中にいろいろあってね」
そう言えば、まだ白い封筒の中身見てないな……。
「それじゃあ薬飲んで早く寝るんだぞ。次の出勤は明後日だからな」
「ああ」
僕はふすまが完全に閉まりきって、父ちゃんの足音が遠くなるのを確認してから白い封筒を開けた。