○●雨色ドレス●○
ここに来てから一週間が過ぎた。
 
僕は相変わらず、ケンちゃんマートでせっせと汗を流していた。
 
今日は父ちゃんも母ちゃんも休みだ。
 
僕と歩美とチバ――あっ、まだチバの紹介をしてなかったか。
 
千葉陽介、僕の4才年上。
 
僕が熱でダウンして、次の出勤の時がチバとの初対面。第一印象は、マル。なぜかって? チバも大の古着フリークだったから。しかもピアスは初期のダニーキャットのNo.0デザインでシブい。
 
 
僕のアメカジスタイルとはまた違う、プレッピースタイルがとても似合う、爽やか好青年だ。
 
更にめちゃくちゃ人当たりのいいやつで、喋りも巧みで、背も高くて、仕事も早い。
 
『自分』っていうのを分かっていて、信じていて、貫いてる。そう僕は勝手に解釈している。
 
僕よりも、4才も年上なのに、チバは「俺? ああ、みんなチバって呼んでるから。君もチバでいいよ」ってな感じで。
 
初日はさすがに気安く呼べなかったけど、次の日から自然と『あのさ、チバ』と日常会話の頭に盛り付けられるようになっていた。
 
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